開口の高さ

今日は、完成した住宅の見学に、同業の友人や知人が来てくれました。
住宅の場合は実際の様子を見てもらう機会もあまりないので、みんなの反応が楽しみです。

とくに、みんなから良い反応をいただけたのはここ。
リビングからハナレへ抜けるところです。(ハナレについてはこちらの記事に書いています。)

日常から非日常へのスイッチとなりますので、「そういう感じ」を出したいなと。
クライアントからはアーチや曲面がある空間をリクエストされていたのもあり、ここに取り入れました。

アーチの頂部は180cm。
クライアントの身長は皆高く、頭をぶつけはしないけれども「あれ?低い?」と感じるくらいの高さです。ここをくぐって別の世界へいく感じを出したくて、少し低めにしています。
茶室のにじり口のように屈むくらいの高さにしようかなと思ったりもしたのですが、それはやめました。
旅でたまに訪れる場所だったり、もしくは来訪者にとってはそういう高さの開口も面白いかと思うのですが、今後ずっとここを使うクライアントにとっては少しストレスに感じるかなと、ギリギリの高さにしました。

住宅の場合は、こういった開口の高さや窓の高さ、家具の高さ、収納のポールの位置、、、あらゆる高さはそこに住む人の身長をベースに決めています。
例えば、窓の取り付け高さを考える時には、手を伸ばして鍵に手が届くかどうかなどもを考えます。
私の身長は168cm。
自宅や事務所、身近な場所で実際に自分が手を伸ばしてみてどのくらいの高さまでなら届くかなと、似た状況を作って試してみます。
クライアントが158cmの場合は、そこから-10cmします。

どれだけ経験を積んでも、毎回、自分で試して、測って、決めるようにしています。
教科書的な「こうすべき」はもちろん参考にしますが、決してその通りにはいかないのが住宅設計の面白いところだな、と思います。