基本設計 −カタチになるまで−

椥辻の家は基本設計を終えて実施設計に移りました。
基本設計と実施設計は連続的なので、その境界をはっきりと分けることはできないのですが、簡単にいうと間取りや建物の高さ、屋根の形状、おおむね扉の窓の位置など決めるまでを基本設計としています。

敷地が広いとどんなふうにも建てられるので、設計も容易だと思われガチですが、実はそうでもありません。
もちろん、制約は少なくなるので選択肢が広がるというのはその通りですが、選択肢が多いぶん、何が最も良い案なのか、、ものすごく悩みます。

今回は、「庭と住まいをどのように関係づけるか」と「東の山並みの眺望をどのように確保するか」の2点をベースに置きつつ、どのような可能性があるか色々描いてみます。
その、一部。

敷地の真ん中に長方形を配置する案や、L型で囲む案、その逆のL型、2棟に分ける案、、、描きながら、それぞれどこがうまくいき、何がうまくいかないかを確認してみます。
描きながら途中、「このパターンはうまくいかないなあ。」と感じても、途中でやめてしまわずに最後まで考え、1つの案として成立させます。
これは前職場での教えで、もう少し検討すれば良い案に辿り着くかもしれないのに、その可能性を捨てるな。という意だったり、あとは単純に設計力をつけなさい、ということだと理解しています。

もちろんプロジェクトによって違いもありますが、私の場合は、このようにプラン(間取り)から考えはじめることが多いです。
そして、うまくいきそうな感触を掴めると、屋根の形状やファサードも同時に考えます。

簡単な模型もつくります。
今回は可能性が多いぶん、とても悩む、、、

とにかくつくり、改良して、また改良して、、、の繰り返しです。
最終的に、1つに絞りきれずに3案見ていただくことになりました。

模型を見ていただいたところ、ご夫婦一致で「これが良いね!」とお返事がいただけました。
選んでくださったのは、素直な構成の案でした。
気に入っていただけて嬉しさと同時に、安心。

そこから何度か打ち合わせを重ね、プランや高さの調整をしていきます。
さらにイメージを伝えられる模型もつくります。

打ち合わせは順調で、今は実施設計の最中。
そして、実施設計の段階に移行しても、まだ模型をつづけています。

3Dパースで表現する事務所も多いのですが、模型だといろんな角度から覗きながら直感的に空間やボリュームの確認ができるので、私はまだまだ模型派です。

つくるのに時間かかるんじゃないですか?とよく聞かれますが、模型製作歴は長いので結構すばやく作れます。
逆に3Dは慣れていないので時間がかかってしまう、というのも密かな理由。笑
ただ、3Dならではの表現があるはずですので、また習得して、いろいろ試してみたいと思っています。