- 清泉

京都市の中心地に位置する戸建住宅を、外国人観光客向けの一棟貸しのゲストハウスへと改修する計画で、「京都」や「和」をイメージしてもらえるような非日常的な空間を求められました。

既存は昭和の初期に建てられた木造2階建ての看板建築で、内装は土壁、畳間、襖といった「和」をイメージさせる伝統的な素材を残しつつも、木目調ベニヤ、タイル、アルミサッシ、ビニルクロス、クッションフロアなど新建材が混在しており昭和以降によく見られる日常的な住空間でした。
また賃貸での運営となるため、間取りの変更はせず内装の模様替えにとどめておくことも条件のひとつでした。

比較的状態が良い土壁や板貼り、畳、建具などはそのまま残しながら、新たに手を加えていく部分には黒色(〜濃灰色)の仕上げを施すこととしました。素材は質感、予算、施工性(補修のしやすさ)、メンテナンス性、総合的にその箇所ごとに適したものを選んでいき、新旧さまざまな素材を混在させながらも「色」で空間を整えています。

またファサードは、黒く塗装した壁、簾、暖簾で壁面を再構成して、新しい宿の顔をつくりました。

既存の外壁に、黒い壁、簾、暖簾でファサードを再構成している。

周辺のまちなみ

玄関に入る。右手は広間。 玄関の壁は和紙クロス、土間とカウンターは黒モルタル仕上げ、既存の建具は塗装をして整えている。

広間より玄関を見る。

唐紙で製作されたパネル。野田版画工房製作。

広間には、新たにテーブルを据えた。鉄で組んだフレームと左官の研出し仕上げの天板。

畳間越しにダイニングを見る。

ラワンベニヤに塗装した天井、和紙クロスで貼り替えた壁、黒モルタルで補修した腰壁、新たに造作した樹脂モルタル仕上げのダイニングカウンター、Pタイルの床。

2階の寝室(畳間)。既存の襖はすべて濃グレーの紙に張り替えた。

襖紙はテクスチャの違う2種類を採用している。

床の間は鮮やかな色味の唐紙で仕上げている。 既存アルミサッシの手前には障子を新たに設けた。

光の加減で紋様のみえかたが変わる唐紙仕上げの床の間。

水廻り。既存タイル、モルタルの上から濃グレーで塗装している。1畳半ほどの浴室には丸型の陶器浴槽を据えた。

夜の様子。

ファサード(※)

玄関(※)

広間(※)

寝室(※)

- インフォメーション

所在京都市
構造木造2階建
年時2017年
施工山田工務店

床の間 唐紙施工、玄関パネル製作:野田版画工房 http://nodahanga.com/
広間テーブル、ダイニングカウンター 左官仕上:総合建築植田 http://www.skueta.com/

ダイニングチェア製作 :tampere http://www.tampere.jp/
植栽:庭彩宮の 

写真_山内紀人 http://n-y-p.jp/  (※)はのぞく