床暖房上のフローリング、いろいろ。

上阿達町の家では、床暖房をいれています。
大阪ガスのヌックの「小根太付マット」。
こんなパネルが床の下に敷き込んであり、パネルの中には温水が流れています。

今回は、その上にベニヤを1枚敷き、さらにその上にフローリング材を仕上げます。
「小根太付きマット」は、その上に直接フローリングを敷いても問題ないのですが、ベニヤを間に挟むことで、工事中でも、将来でも、フローリングを剥がす必要が生じた場合、床暖房パネルを傷めずに済みます。
もうひとつ。無垢のフローリングを貼る場合ですが、ベニヤが床暖房からフローリングに熱を伝える際の、急激な温度変化の緩衝の役割もあります。→フローリングが変形しにくくなります。

床暖房の上に敷くフローリングはいろいろあります。
これらは全部、オーク無垢材が使われています。

裏はこのようになっています。

①は普通の無垢フローリング。
15mmの厚み、全てが無垢です。

これは、床暖房用として売られているものではありません。
といっても、床暖房の上に敷いてはいけないというわけでもないのです。
ただ、床暖房の熱で乾燥し、縮んだり反ったりして板の間に隙間が数ミリあいてしまう可能性は高いです。
床暖房用でないフローリングも、広葉樹か針葉樹か、板目の方向、節のある無し、材料の乾燥状態、などの次第で反りにくいものもありますし、そうでないものもあります。
他にも、床暖房が低温だと変形のリスクは低くなりますし、高温だと高くなります。

次に、②と③は床暖房用のフローリング材です。
①と同じように厚み分すべて無垢、までは同じですが、裏側に溝が入っています。

床暖房の熱で縮んだり反ったりしにくいよう、あらかじめ人工的に強制に乾燥させ、含水率が下げられたものです。
それでも少なからず水分は含まれるので、変形が0になるというわけではありません。
裏側に溝がは、変形しようとする動きを吸収してくれます。
②と③を比べてみると、②の板幅は90mm、③の板幅は75mm。
板幅の小さい③のほうが、板が縮んで隙間を生じたとしても、全体的にもまんべんなく馴染ませられるので1箇所あたりの隙間が小さく、「目立ちにくく」なります。

そして、④は表面の5mmが無垢材、その下に芯材、さらにその下がベニヤ、と三層構造になっています。
複合フローリングや、積層フローリングなどとよばれます。
無垢部分の総厚が薄い分、乾燥による変形は小さく、安定しています。

最後に、⑤は④と同じ、複合フローリングです。
表面2〜3mmが無垢で、その下は合板が木目が交互になるように積層されています。

④や⑤は、無垢の部分は①〜③と比べると薄くなりますが、傷がついてもめくれてしまうよう厚みではありませんし、素材の良さもちゃんと感じられます。
そして、板幅が広くなっても変形しづらいのがよいところ◎
フローリングの幅が広いと贅沢な印象になりますね。
①〜③のように厚みすべてが無垢で板幅の広いフローリングで、隙間や変形を抑えるために床暖房用の加工を施したものは、価格もグ、ググン!と高くなり、なかなかご提案できません。。。
複合フローリングの場合は、広幅でも価格もそこまで高くならないので、ご提案もしやすくなります。

床暖房用のフローリングは他にも色々ありますが、使用条件(床暖房の低温設定など)やリスクの程度、見た目の良さ、素材感でコストも変わってきます。
変形についても、どの程度までだったら気にならないかなど、それぞれ感覚も違います。
「これが正解」がないので、ご提案する時にはそのバランスが難しいところ。

マンションなどで一般的に使われているフローリングは、表面に0.1mmほどの自然木が化粧として貼られ、傷がつきにくいようにコーティングされているものや、木目プリントの硬シートを貼ったフローリングがほとんどで、無垢のようなリスクがほとんどありません。(→クレームもでない)

それよりも、素足で歩いたときの足ざわりや、色の変化、傷のつきかたが大らかで味わい深い、無垢の木はおすすめしたい素材です。

上阿達町の家では、⑤の床材を採用しました。
節もなく、とてもキレイに仕上がりました。
ちなみに、床暖房の温水設定、80度までOK!

先日、冬の日におうかがいしたところ、とても温かかく、素足で過ごしていただいておりました◎