アンティークの家具

金子漢方薬局へ。
竣工写真の撮影もあり、開局してから1ヶ月半たった頃に訪れました。
什器や商品、生薬が並んだ状況は写真ではチラチラ見ていたものの、完成してから実際にみるのは初めて。
完成直後はガランとしていましたが、やっぱりモノや人が入ってこそですね。
空間が生き生きしています。

店内の什器の大半は、アンティークの家具です。
はじめに、好きな空間や家具や小物などの写真をいろいろ見せたいただいたのですが、その多くはアンティーク家具が入ったインテリアだったり、ちょっと大人めで落ち着いた雰囲気。
「新しいものよりも古いものが好き」と話されていたこともあり、わりとはやい段階で、什器はアンティークのもので構成しようと考えていました。
レジや相談机の配置、必要な什器のおおよそのサイズや間合いを図面にレイアウトし、それを目安に古道具屋さんで選んでもらうことになりました。

アンティーク家具のように時間を経たものには、微妙な歪みや使い込んだ擦れや傷があり、それは新しいものには出せない味わいや空気感になります。
内装は壁・床・天井と全て新しく仕上げますので、ピシッとした新しさと馴染み、「ちょうど良く」落ち着いた空間になることを考えました。

現代の大量生産系のローコスト家具と比べると、昔の家具は無垢材が使われていてキチンとしたつくりのものが多いので、上手く選べばかなりお得です◎
コストコントロールも理由のひとつです。

そうは言っても、古い家具であればどんなものでも良いというわけではありません。
デザインのテイスト(例えばコテコテの純和風、アールヌーボー調、アジアンテイスト、etc)がバラバラだと、ひとつひとつは良いものでも、全体でみると、まとまりなく雑然とした印象になってしまいます。
また、デザインもサイズも、全て思い通りのものが見つかるとは限りませんので、必要な家具のうち、大きめのものから決めていって、それに合うかどうか意識しながら他の家具を順番に揃えていけば、空間に占めるボリューム感もコントロールしやすく、安心です。
そんなふうに意識しながら選ぶだけで空間はまとまりますし、微妙な違いが緊張感をほどよく和らげてくれます。


(写真:河上展儀)
正面右の水屋箪笥はお祖母さまが使われていたものです。よい存在感です。


(写真:河上展儀)
右上にある枡棚は今回の工事で新しく作ってもらったもの。
よいかんじに馴染んでいます。
これも数十年後には「アンティーク」になりますね。

ちなみに、こんなかんじに既に決まっている家具と、検討中の家具、これから探す家具を平面図にプロットして、確認していきます。
私のコメントが小姑的…(苦笑)

と、なにかと細かい私の意見に耳を傾けくださりながら、クライアント自ら色んな場所に足を運び、揃えられたものばかりです。