施工図

高知の金子漢方薬局の現場。
解体がほぼ終わり、3月から始める工事にむけて工務店さんと事前準備をすすめています。

建築の工事現場は、終盤の終盤、最後の1〜2週間割ほどがドンドン、ドンと空間が仕上げられていき、わかりやすく様子が変化していく、楽しい期間です。
クライアントはもちろん、私もテンションがあがります。
いっぽう、そこに至るまで大半は材料の準備や下地工事で、華やかさにはかける地味な期間ですが、実はその期間がとっても大事!
料理も化粧も下地(下準備)命、っていいますよね。建築も同じです。

さて、今回は工務店さんが施工図を作成してくれています。
施工図ってあまり聞きなれないですよね。
設計図と何が違うのでしょう?

施工図は、私(設計)が描いた図面を元に、品質や工程、施工性、安全性、コスト面、をふまえて、施工者の立場から詳細な図面を作成して、現場の職人さんに指示を出すための図面です。

例えば今回のように改修の場合。
まず、解体後に、建物のゆがみや既存の下地の状況を測量してもらい、

(工務店)設計図だと寸法が〇〇になってるけど、実際は建物がゆがんでいるので、図面より〇〇mm小さくなってしまいます。
(私)それだったらここで寸法を調整しましょうか。

とか、

(工務店)天井をめくってみるとここに梁があるので、天井の高さが〇〇になってしまいます。
(私)じゃあ、ここで段差をつけることにして、この範囲の天井高さは〇〇をキープしましょうか。

とか、

(工務店さん)図面だとサイズ〇〇の材料をこんなふうに加工するとなっていますが、サイズ△△の材料をこんなふうに加工して製作してもいいですか。
(私)OKです。それだったら、ここの寸法を揃えたいので◇◇にしてもらえますか。

とそんなやりとりをしながら、設計と施工のすり合わせをしていきます。

私の場合は、修正やコメントは赤字で書き込んで、「OK」は黄色でマーカーしていくことにしています。
そうするとチェック漏れが防げるという、修行時代の事務所での教え。

やりとりを数回繰り返して、図面が黄色一色になれば「承認」サイン。
この図面をもとに職人さんが施工することになります。

例えば電気工事の場合だと、コンセントやスイッチ、照明器具の位置や高さを決めます。

(私)ここに家具を置くから当たらないように〇〇ずらしてください。
(電気屋さん)ここに間柱がきてコンセントが入らないので、右に少しずらしますね。
(私)ここのダウンライトの間隔は寸法〇〇で均等に配置してください。
(電気屋さん)換気扇と干渉してしまうので、照明を少しずらしてよいですか。
などなど、、、

工務店さんや現場によっては施工図が出ないことももちろんあります。
そんな場合は、現場で監督さんや職人さんを交えて打ち合わせします。
それはそれでライブ感があって楽しいのですが、遠方の現場は、施工図上で打ち合わせできると、とっても助かります!

私は指示がわりとこまかい方なので(自覚あり)工務店さんも苦労されること多いみたいですが(苦笑)、今回の暁工務店さんは前向きに取り組んでくださっている様子がありがたいです。

おかげさまで、安心感のあるスタートをきれました。