小さいけれど、大切な手間
上阿達町の家。
木製建具がきれいに納まりました。
今回、木製建具を製作してくださった、西谷建具さん。
「どう見せたいか。」を、設計図からしっかり読み込んでくださります。
「それいう主旨であれば、こうしてはどうですか。」と、細部の作り方や、建具金物など提案をしてくださるので、設計よりも良いものが出来上がりました。
建具屋さんの経験と知識、技術はとても頼りになります。
例えばココ。
この建具はガラス框戸といいます。引き戸です。
四方に枠(框、といいます。)を組んでから、最後にガラスを入れるわけですが、
この枠の一部分のサンプルを作って見せてくださりました!
これが正面から見たところ。(上の出っ張っているところは、鴨居の溝にはまります。)
上から見るとこうなっています。↓
この隙間からペアガラスを入れます。
ここまでで完成。とすることも一般的にはよくあるようです。
(扉の上部分は鴨居の溝に隠れるので、私も今まで確認したことがなかった!)
西谷建具さんでは、上の隙間も最後に木のパーツで埋めます。
こうすることで枠がカチッと、しっかりと固定されるようです。
よりしっかり組み込まれるような細工も、施されています。
こうやって、
こう。
カッチリ!
木は、まわりの熱環境によって、膨張や収縮、反ったりする素材です。
建具の場合は、木が膨れたり反ったりすると開けづらくなりますし、乾燥して収縮すると隙間が大きくなったりします。
ですので、なるべく状態が良い材料を使うわけですが、それでも、そんな「木の動き」とは付き合いながら使いつづけていただかなくてはなりません。
見えないところにきちんと手間をかけておくことで、しっかりとした状態を維持しやすくなるようです。
つづきまして、浴室の建具。
水回り(湿気があるぶん、木が動きやすい環境)ということで、より安定した材料で選んでくださりました。
吉野檜のまっすぐな木目がとても美しいです。
下の部分は、ガラスにかかった水滴が溜まらずにすぐ流れるよう、斜めに加工してもらっています。
この手間ひとつで、痛みにくくなります。
そんな職人さんとのお仕事。
勉強になりますし、とても楽しいです。
最後は、玄関扉。
すごく格好良く納まりました!
この仕事へつながっています
上阿達町の家
京都市にある、長屋住戸の改修計画です。 敷地は大通りから入った静かな住宅地の中にあり、横4戸、上下2戸の重層長屋が数棟並んでいます。某企業の社宅としても使われていたという築100年近くの歴史があり、今回はそのうちの一棟、 […]