- 駒野の家

家族の成長とともに増築を重ねてきたすまい。子供が独立したのち再び変化したライフスタイルに合わせてすまいをつくりかえる改築計画です。

既存の建物は36年前に建てられた一棟と、そのすぐ隣りに、子供の成長と共に16年前に増築された一棟がありました。
子供の独立後、夫婦で暮らすには広すぎる面積と部屋数、それがゆえに管理がしづらくなってきた全体のボリュームを減らすこと、今のライフスタイルに合わせて快適に生活することが求められました。また、交差して複雑になっていた生活動線をスムーズになるよう整理し、将来を見据えて1階部分で生活のすべてが行えるようにすることも必要でした。

ほとんど使用しておらず劣化もすすんでいた築36年の棟はおもいきって解体し、比較的新しい築16年のほうの1階部分に平屋のボリュームを増築することにしました。
十分に広い庭に対して伸びるように新たにLDKと水廻りを配置し、一番長く滞在する場所で庭の気持ちよさを十分に享受できることを大切に考えました。
増築するボリュームは庭を南と北に適度な広さに分割しながら、開口部の性格を変えることで庭との向き合い方に変化をつけています。
養老山系が眺める南側には大開口と庭と連続したテラスを、北側には高さを押さえた横長窓と作業カウンターを。
特異な変化は避けつつも、敷地がもっている良さと可能性を引き出すための敷地の整備です。

庭につながる大開口。建具は壁に収納しているので、気候の良いときは扉は開け放って中と外をひとつづきに。外との距離がぐっと近くなります。

リビングルーム。

広い庭へ延びるテラスと大開口。 大開口のある壁には、障子、網戸、ガラス戸、雨戸が全て収納されています。(※)

カーテンやロールスクリーンの変わりに障子がはいっています。 障子にすると柔らかい空間になります。 (※)

壁から手前は既存家屋。奥は増築部分。 古いところと新しいところをゆるやかにつなげています。(※)

柱とキッチンカウンター。(※)

奥は北側の横長窓。天井高を北側に向かってぐっと押さえてあります。手前のカウンターは書斎がわりです。

大きな開口はテラスとひとつづきになります。端の小さな窓は浴室の窓。庭から浴室へも出入りできます。

大きな軒とテラスは既存部分までのびていきます。

2階建ての部分は既存家屋。もともとあった2階のバルコニーは撤去して、かわりに木製の手摺をつけています。 外部とつながるデッキや玄関の木製建具と同じ木素材でつくり、新しい部分と既存家屋が馴染むよう整えています。

和室。左壁面にある既存サッシには障子をつけて和室のしつらえにしています。(※)

和室からリビングをみる。上部はガラスとして空間に広がりをもたせています。(※)

壁、靴箱、扉。すべて同じ素材です。 手前の壁の奥からは玄関の明かりが差し込みます。

玄関扉と靴箱。暗くならないようガラスで光を取り入れます。

洗面室と浴室。浴室の奥はデッキ越しの庭です。

夜景

雨上がりの濡れ縁。

植栽ごしのLDK

食卓の風景。

 

- インフォメーション

所在岐阜県
構造木造2階建(既存2階建+平屋増築)
年時2014年
施工丸平建設株式会社
構造設計(有)ワークショップ/安江一平

Photo by fotochihiro / 田中千尋 (※)印は田中郁恵設計室