山梨へ
「よかったら来ませんか。」
と、建築家の手嶋保さんに新作の内覧にお誘いをいただき、山梨へ行ってきました。
甲信越方面へ足を延ばす機会はあまりないので、道中、バスから見る見慣れない風景ー中央、南アルプスの高い山並みに気持ちが高鳴ります。
15年ほど前に、スイスの山岳集落へ旅行にいった時の景色と少し重なりました。
手嶋さんがバスの降車口まで迎えにきてくださって、そのまま車で現地へ。薄曇りの穏やかな天気でした。
現地へ到着すると、道からその姿はほとんど見えず、ボリュームの抑えられた建築の立ち姿に手嶋さんらしさを感じました。
立ち姿は控えめですが、中へ入ると静かで、力強い空間がありました。
それぞれに設けられた窓からは、道中から見てきたダイナミックな山並みが広がっていて、意識はずーっと先の方まで延びていく感覚になります。
手嶋さんの作品はこれまでにもいくつか拝見させてもらっており、今回でなんと4度目‥!
当然、それぞれにロケーションは異なるのですが、どの作品でも外の景色の見せかたや、光の入れ方がとても絶妙で心地が良いのです。
うまく表現できないのですが、その場所(周辺環境)との仲を取り持ってくれるような窓なのです。
窓の大きさ、視点の高さ、シークエンス、質感、、、きっと私が想像するよりもずっと丁寧に、吟味されているんだろうな、と感じます。
造作ベンチに腰を掛けゆっくり外の景色を眺めたり、たまに外に出て周辺を散歩をしたり。
結局、昼から夕方までゆっくり過ごさせてもらったのですが、そこで過ごさなければわからない「建築がもつ静けさや強さ」みたいなものが確実にあって、その一端でも体感することができて、ここに来て本当に良かった。
贅沢な時間でした。
その晩、ご一緒させていただいた皆さんに「evam eva」に行ってみるといいよとお勧めしていただいたので、翌日は、そちらへ足を延ばしてみました。
アパレルブランドの店舗なんですが、レストランやギャラリーも併設しており、この日は染織家の藤井繭子さんの個展が開かれていました。
ここの庭にある植物を色として映しとり、染めと織りで表現された作品で、とても素敵だったな。
ここもすごく気持ちの良い場所で、のんびり過ごしすごしていると、あっという間に帰る時間になってしまいました。
帰りの電車から見える山の新緑がこれまた眩しく。
ちなみに、お誘いいただいたのはこの日の5日前。
1週間前には予想もしていなかった遠くの地に、今、自分がいるって面白いな。
観光地らしい観光地には足を運んでいないけれど、とても記憶に残る旅でした。
手嶋さん、いつもありがとうございます。